2008年05月01日Bunkamura原文:

「わが魂は輝く水なり」稽古場レポート

「自分が演劇人としてスタートした時のことを、埋没させず、つねに喚起しないと危ないということを、強く感じているんだと思う」

080506.jpg ここ数年、蜷川は意識的に清水戯曲と向き合っている。その理由を「原点回帰」だと、蜷川は言う。

60年代から70年代にかけて、若い世代の「熱」が世界を大きく揺るがした。ベトナム反戦運動、ヒッピー、ビートルズ……敗戦の傷跡がいまだ色濃く残る日本も、安保、学生運動、連合赤軍の浅間山荘事件と、過激な熱を帯びていた。そんな中、蜷川と清水は、演劇を通して社会を挑発しようとした。しかし、学生運動がそうであったように、蜷川と清水の活動もやがて終局を迎え、それぞれ新たな道を歩むことになった。

80年、清水は劇団民藝に『わが魂は輝く水なり』を書いた。蜷川は公演を観に行かなかったが、台本は読んだ。「これはまるで俺たちのことを書いてるみたいだ」。源平の合戦という枠を借りて、清水は“あの時代”を書いていた。蜷川はその後、複数のプロデューサーからこの作品を演出するよう提案されたそうだが決心がつかず、初演から四半世紀以上たってようやく向き合うことになった。野村萬斎、尾上菊之助という、若い世代を迎えて。

美しい台詞、レトリック、そして緻密な構成。稽古場での蜷川は、いつにも増して、じっくりと腰をすえて、戯曲に向き合っている。まるで台詞のひとつひとつが言霊であるかのように大事に扱い、人物の心の襞を丁寧に表出しようとする。そして、行間に多用される「……」の読み取りを俳優にしっかり期待する。「それは共感なのか嫉妬なのか、言葉の動機をはっきり見せてくれ」、「心が入ってほしい、心で伝えて」。蜷川の一貫した姿勢は、背景に流す音楽の選択にも及び、「そんなワーグナー風の曲だと、今までの俺の芝居みたいだなあ。俺は、スペクタクル性を抑えたいんだ」と、柔らかな口調で要求する。

「稽古場は色々と試みる場所なんだ。とにかくやってみよう」との蜷川の言葉に、ある日、萬斎は粘り強く「森」と自分との距離感を測ろうとしていた、菊之助は、「海面(うみづら)からの風」という言葉の朗誦で、空間を大らかに広げる工夫を繰り返している。そして時折、蜷川の口からこぼれ出る清水邦夫のこと、あの頃のこと。カンパニーの圧倒的多数は、学生運動や浅間山荘事件をリアルタイムで実感してはいないし、アンダーグラウンドと呼ばれた演劇人の活動も目にはしていない。しかし“彼らの時代”の熱さ、強さは、蜷川の言動を通して確実に次世代に伝わっている。いつだったか、蜷川の稽古場を或る若いキャストがこう語っていた。「なかなかこんな体験はないんです。俺、本当に頑張って戦わなきゃなって思う」。
text:谷田尚子

 

 

2008年05月04日サンスポ.COM原文:

老け役に初挑戦の野村萬斎、主演舞台をバリバリPR!

狂言師で俳優の野村萬斎(42)は4日から東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンで上演される主演舞台「わが魂は輝く水なり」(蜷川幸雄演出、27日まで)を3日、同所でPRした。老齢ながら鬼神のように戦った平家の武将、斎藤実盛役で、「40歳を過ぎた私がバリバリに初の老け役に挑戦しています」。

 

2008年05月04日MSN産経ニュース原文:

【演劇】「わが魂は輝く水なり」出演、尾上菊之助  蜷川演出で新境地へ

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平安末期の武将、斎藤実盛の息子、斎藤五郎役を演じる尾上菊之助。父子の関係は「どこか歌舞伎の世界の親子にも似ている」という(中井誠撮影)

若手歌舞伎俳優の尾上菊之助が4日から、東京・渋谷のシアターコクーンの「わが魂は輝く水なり  源平北越流誌」で、平安末期の武将、斎藤実盛の息子、斎藤五郎役を演じる。「歌舞伎やシェークスピア劇にもない亡霊。(観客に)どんな風に映るのか、探っているところ」といい、新境地を開く演技が期待される。(生田誠)

 ◇

 菊之助は今回、父・尾上菊五郎が出演する「團菊祭五月大歌舞伎」ではなく、蜷川幸雄が演出するコクーンの舞台を選んだ。

 「チャレンジ精神をお持ちの蜷川さんには、『十二夜』で歌舞伎の世界に来ていただいた。今度は自分が同じ気持ちで飛び込んで行く番」

 コクーン出演は平成12年の「グリークス」以来2度目。「当時は、右も左もわからずに迷惑をかけたが、今は少しは引いて自分を見られるようになった」といい、その成長ぶりを、父・実盛役を務める野村萬斎との共演で見せる。

 「わが魂は-」は昭和55年、清水邦夫が劇団民芸に書きおろした。源氏再興の兵を挙げた木曽義仲を北陸で迎え討つ平家軍の中に老武将、斎藤実盛がいた。実盛はかつては源氏方で幼い義仲の命を助けた恩人だった。息子の五郎は義仲の軍に走るが殺されてしまい、亡霊となって父の元に戻る。実盛にぴったりと寄り添って、本音を引き出す不思議な存在だ。

「五郎は実盛にしか見えないので、周りには奇妙な会話に映る。武将の親子は複雑な関係だし、子供は父をなかなか超えられない。どこか歌舞伎の世界の親子と似ているかもしれません。その関係を萬斎さんと会話しながら作っている」

 兄に続き、弟の六郎(坂東亀三郎)も義仲軍に身を投じる。一方、実盛は死場所を求めて合戦の場に赴く。五郎たち兄弟はそれぞれに義仲軍のありさまを父に語り、父の見ていた夢の実態を暴き出す。仲間同士が疑い、狂気の殺戮集団となった義仲軍には、昭和40年代の大学紛争時の全共闘の姿が投影されているとも。萬斎、菊之助の個性がぶつかる注目の舞台だ。

 27日まで。問い合わせは(電)03・3477・3244。(生田誠)

 

2008年05月08日Asahi原文:

野村萬斎、蜷川演出舞台で老武将熱演

狂言師の野村萬斎が、蜷川幸雄演出の舞台「わが魂は輝く水なり―源平北越流誌―」で、平家の老武将を演じている。亡霊になった息子役は歌舞伎の花形スター尾上菊之助。ジャンルを超えて舞台の精鋭が集まった。萬斎は「他流試合ではなく、全員が一緒になってすばらしい作品をつくる場」と意気込んでいる。

 萬斎が演じるのは、かつて幼い木曽義仲の命を救った平家の武将・斎藤実盛。60歳となり、白髪の老人となっても源氏との合戦の日々を送っている。死んだ息子・五郎の亡霊が現れ、弟の六郎(坂東亀三郎)は敵方の義仲軍へ走る。

 清水邦夫が80年に発表した作品。劇団民芸による初演では宇野重吉が実盛を演じ、演出も兼ねた。「平家物語に題材を借りた現代劇でもある。60歳は当時では相当高齢ですが、清水さんが40代の若さで執筆されたことも思うと、今の団塊世代に近い印象がある」

 蜷川演出は、アテネでも公演した「オイディプス王」(02、04年)に続き2作目。「前回は総当たりの格闘技のような役だった。今回は群像劇で、実盛は辛抱して相手の芝居を受ける場面が多い」

 日本の古典芸能は、先人が磨きあげた型を自身の体に入れることで、ある意味自動的に演じられる。だからこそ、全く違うアプローチで役を演じることが求められる現代劇への出演を切望していた。

 「相手のせりふを聞く中でどれだけ自分を育てられるかが課題。菊之助さんや亀三郎さんが苦労しているのを見ると、自分もそういうことに気づくようになったんだと感じます」

 芸術監督をつとめる世田谷パブリックシアターで「敦」「国盗人」を演出するなど、演出家としても話題作を生んでいる。「演劇をどうつくるか。スタッフワークまで含めて、とても勉強になる」。蜷川のけいこ場で、盗めるものはないかと目を光らせる。

 演出家としては、蜷川と異なる個性の持ち主だと自身を評する。「蜷川さんが堕(お)ちてゆく英雄の悲劇が好きなのに対し、狂言出身の僕は、どこかずっこけたアンチヒーローがヒーローになるような喜劇が好き」

 けいこでは、日々さまざまな演技を繰り出し、蜷川や共演者の反応から、さらに役をふくらませた。「本音で語り合う父と子から、もの悲しくもあり、おかしくもある人間の姿が浮かび上がれば」

 津嘉山正種、秋山菜津子、神保共子ら共演。27日まで、東京・渋谷のシアターコクーンで。1万~5千円。Bunkamura(03・3477・3244)。(藤谷浩二)

 

2008年05月09日Bunkamura原文:

「わが魂は輝く水なり」開幕直前コメント&舞台写真公開!

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「わが魂は輝く水なり」開幕直前のコメントをご覧ください!舞台写真も公開しました!!

蜷川幸雄

「尾上菊之助さんと野村萬斎さんという才能ある古典芸能の二人との出会いによって、スリリングで面白い舞台になったと思います。
今後、二人が共演するという贅沢なことは、もう起こらないでしょう。
菊之助君は素晴しい現代的な演技をしてますよ。萬斎さんの老け役もとてもいいんです。演出家として、とても幸せだと思っています。」

野村萬斎

「60歳を過ぎても生きる炎を燃やしている実盛を演じます。70歳を過ぎてもまだ創作意識の衰えない蜷川さんをお手本に演じています。40歳を過ぎた私がばりばりに初の老け役に挑戦しています。
父と子の葛藤が描かれているこの物語。お父さんを留守番にするのではなく、是非ご家族で見にいらしてください。」

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